DATE  2003/08/20
LOCATION  北海道:宗谷岬 → 北海道:ノシャップ岬
No.25 The Other Side

夢の一つは宗谷に消えた。
だが、出発前に漠然と考えていた裏の夢が、
稚内のもう一つの岬、ノシャップ岬の夕日に逆らい、
立ち昇る。

―出発前・7月―――――――――――
北の果ては、言わずと知れた宗谷岬。
今回の目的地だ。
南の果ては、沖ノ鳥島。
でもここは岩が2つあるだけで行けないのか、、、
東の果ては、南鳥島。
ここは自衛隊しか行けないらしい。
西の果ては、、、行ける。
日本最後の夕日が見れるのか。
なんだか魅力的、、、
――――――――――――――――――

え?、、、行くの?
疲れ切った自分に問いでみるが、
否定しない自分が信じられない。
意思は次へと向かっている。

、、、 もう、これはやるしかない。
こんなアホなことやれる機会も気力も体力も、
年を重ねたら恐らく無いだろう。
だったらもう、どこまで行けるか
とことんやるしかない。
この世に受けた、たった一度の人生だ。
決して後悔の無いように。

目指す目標、まずは鹿児島県・佐多岬。

さあ、The Other Side!
日本列島、端から端へ!

ノシャップ岬への道。 意外と遠い。
日の入りは近い、急げ。
なんとか間に合った。
コンクリートの反射がまた良い。
 
奥の利尻島を眺めながら、
決断する。


DATE  2003/08/21
LOCATION  北海道:稚内 → 北海道:札幌
No.26 走馬灯

佐多岬までの経路について、
午前中は一人作戦会議。
稚内の海辺で地図と睨めっこ。

遠い。尋常じゃない。
日本ってこんなにも広かったんだ、、、
ここまで来れた事が他人事のように思えてきた。
この距離は走ろうと思えば、
凄い時間は掛かるけど、走れる自信はある。が、
また同じ道を延々走るなんて
チャリバカ日誌になってしまうし、
north編で、がむしゃらに目指す思いは満たされた。
となると、どう移動するか、、、

その時、この旅で妙に楽しかった乗り物が頭を過ぎる。
フェリーだ。
船旅も良いな、、、
小樽から西に向けて船が出ているはず。
よし、小樽だ。
チャリはペリカン便で小樽営業所に郵送し、
自分は都市間バスに乗って一路札幌へ。


夕日の街、留萌辺りまで自分が走った道を
バスは静かに進んで行く。
この道、辛かったなぁ、、、
あんな所にも風車があったんだ、、、
あ、あそこでアイス食べたっけ。
道に刻み込んだ数々の記憶を
一つずつ拾い上げる度に思わず笑みがこぼれる。
窓辺に映る自分は楽しそうだった。

駅の近くの海。
さて、どうやって佐多岬に行くか。
最北の駅、稚内駅。
タクシー運ちゃんは暇そうだ、、、
 
稚内の町並み。
稚内よありがとう。


DATE  2003/08/22
LOCATION  北海道:札幌
No.27 雑踏

宗谷岬に着いた時は気付かなかったが、
札幌に着いて疲れがピークに達しているのに気付いた。
もう家を出て一ヶ月か、、、
この辺で2日くらい休もう。

札幌の街へ足を踏み入れてみると、
もの凄い衝撃を受けた。なんてここは都会なんだと。
というのもここ最近、
原野しか見ていなかった為、別世界に思てきた。

もっと困ったのが人ごみを上手く歩けない、、、
というのもここ最近、
人が歩いているのを見ていなかった為、
通行人に当たる当たる。
とんだ田舎者だ。
でもオラにはママチャリさえあれば、、、小樽か。
ああ、ママチャリがないと不安。

札幌駅の近くにある、中島公園。
美しい公園。
渡辺淳一文学館。日本の建築界を代表する安藤忠雄の設計。
一階はカフェと図書。忠雄の特徴である、
コンクリート打ちっぱなしとガラス。
天井まで届く高い本棚。忠雄の設計事務所はもっと高い本棚がそびえ立っている
2階は資料集。建物全体をこのガラスが仕切っているのが特徴。素晴らしすぎて、
渡辺淳一を全く見なかった、、、
札幌といえば時計台。
常に人で囲まれていた。


DATE  2003/08/23
LOCATION  北海道:札幌 → 北海道:小樽
No.28 なりきり

電車で小樽へ。
小樽は情緒がある街なので、
大都会、札幌よりかは落ち着く。
着くやいなや他には目もくれず、日通・小樽営業所へ。
悲痛の叫びで、私のママチャリを返してと
言わんばかりに行くと、
一日振りにみるママチャリが。
ああ、これでどこへでも行ける。

家を出てほっつき走っているアホ息子の、
せめてもの親孝行として、
小樽の魚介類を家に送ろうと市場に行ったら、
全部、凄い安い。
ホッケ、筋子、ズワイ蟹で6000円也。
どれが旨いのか必死で見たけど、
そういえば、自分は食べれないのか、、、

今日は4200円の格安ビジネスホテルへ。
その4200と言う数字に、
どんな部屋でも文句は言わせないという、
無言のプレシャーを感じつつ行ってみると、
見事に学生だらけ。
壁は、防音なにそれ状態だったので、うるさいのなんの。
しょうがないから外出て、
写真撮るために信号を待っていたら、
「どこの寿司が一番美味しいんですか?」
って話しかけられた。
ママチャリで散策していたから、
地元の人と間違えられたみたい。
確かにこれだと、どこ行っても地元人だ、、、

小樽のアンティークな町並み。
なんとも情緒がある。
メルヘン広場。
実にメルヘン。
小樽は歴史的建築物が沢山ある。
重厚な感じ。
小樽運河。
何度見ても綺麗。


DATE  2003/08/24
LOCATION  北海道:小樽 → 新潟:新潟
No.29 船上の試行錯誤

さあ休養は終わりだ。
行き先は西の果てまで。
まずは小樽から新潟に向かうため、
フェリーに乗ったが、なんか凄い揺れる。
酷い時は真っ直ぐ歩けない程。
でもこれ、寝るときは心地よかったりする。

カフェルームで休んでいると、
外人さんがパンフレットに書かれている、
船の定員数や速度などの意味が分からないらしく
わざわざ英語が全く喋れない私に話しかけてきた。
何を言っているか、何て言って良いか分からなかったが、
お互い身振り手振りでなんとかやり取り。
人が多くみんな見ていたが、そんな事は関係ない。
今、目の前にいる人が私にとって一番重要。

、、、 なんとか伝わったのか、笑顔でサンキューとのこと。
その声は私にとって感無量の響きだった。
英語か、、、

新潟行きゆうかり号。
やっぱりデカイ。
カフェルーム。
大半はここで過ごす。
海を見ながら読書もできる。
なんとも優雅な時間。
北海道が見えなくなり寂しさが増す。
ありがとう北海道。
船の醍醐味は夕日。
一面の海に一筋の光の道。
太陽が島に隠れた瞬間。
島の後光となる。
みんな無言で見入る。それぞれに思い出があり、それぞれの目的があるのだろう。
新潟発小樽行きの船とすれ違う。
暗闇に浮かぶ光の船は素晴らしい。


DATE  2003/08/25
LOCATION  新潟:新潟 → 新潟:柏崎
No.30 試練

絶対に守らなくてはいけないことは、
新潟港から直江津港130kmを
明日の10時出航の博多行き便までに
何が何でも走破することだ。
遅れが許されないタイムアタックが始まる。

こんな時に限ってトラブルはつき物。
なんでこんな時に来るのかと万景峰に問い詰めたい。
なんとか騒然とした港を抜け、久々にペダルに力を入れる。
北海道気候に慣れていたせいか、もう暑い、暑い、暑すぎる。
途中、朦朧として何故走っているか分からなくなる始末。
それでも、今日はゆっくりはしていられない。
走って走って走りまくる。
途中、寺泊という市場で
親が好きな、ぼたん海老を再び送りつけ、
また自分は食べれないことにやるせなさを感じつつも、
とにかく走る。

、、、気付けば初の100km越え。
ママチャリ自己ベスト。
明日は30kmのみだから間に合うだろう。
だが、こういう走りは着くことしか考えてないし、
時間に追われてしまって、あまり楽しめない。
何事も自分のペースを守って行くことが、
なによりも大切で一番難しい。

早起きして船内撮影。
アンティークな色彩。
穏やかな早朝の新潟市内。
しかし、港では騒ぎが、、、
新潟といえば米。
あたり一面の米畑。
いやなものを見た瞬間。
山の裏にまで、その急坂が続いた、、、
カッコイイバス停。
これなら、なんだか待ちたくなる。
柏崎商店街。
この通りだけがなぜか綺麗。


DATE  2003/08/26
LOCATION  新潟:柏崎 → 新潟:直江津港
No.31 雨

今日は目的地が近いため
比較的、楽に行けるだろうと言う私の思いは
雨によって打ち砕かれた。
予報によれば、
「降ったり止んだりの天気でしょう」
一番厄介だ、、、

降っては篭り、止んでは猛ダッシュという
ママチャリインターバルを繰り返して、
徐々に目的地を追い詰める。
一番疲れる、、、

なんとかフェリー乗り場の近くに着いたが、
あたりにはトラックとプレハブしかない。
フェリー乗り場を探したが無いので、
トラックの運ちゃんに聞いてみると、
そのプレハブこそが真の乗り場なんだと教えてくれた。
凄い不安だ、、、

なにはともあれ、タイムアタックは終了。
出航と同時に風呂も忘れるくらいの眠気に襲われ、
雨の海原を堕ちてゆく。
西へ西へ、、、

断崖絶壁の道を進む。
高いところまで行くと結構怖い。
国道を避け海の近くの県道を進む。
海が近い町は、雰囲気が良い。
直江津への橋。
印象に残る橋だった。
また降り出した雨。
無事出航できるかな。
 
「自転車の方は緑の貨物ゲートの中に自分で行ってください!」 落ちるよ!


DATE  2003/08/27
LOCATION  新潟:直江津港 → 福岡:博多
No.32 海の時間

船内での必需品は、小説とカロリーメイト。
長い船旅でやることと言えば、
風呂、飯、寝る、以上。
もはや軟禁に近いので、小説だけは欠かせない。

唯一の食堂はもう競合店がいない為、
値段は天井知らず。
持ち込んだカロリーメイトを味わいながら
一欠片もこぼさぬように慎重に食す。
大航海を果たした暁には大盛り博多ラーメンを夢見て、
やっぱり今日も西へ西へ、、、

今回の船内はクラシックな感じ。
 
雲は多いが晴天の朝。
朝風呂からデッキにでると気持ち良い。
一番広い場所。
子供がシャボン玉で遊んでいた。
やっと到着、博多港。
着いたらもう夜、、、


DATE  2003/08/28
LOCATION  福岡:博多
No.33 事実

ああ、、、!?
福岡の本屋で佐多岬までの道を詳細に見た時に、
先端が有料道路になっている事に気付いた。
即ネットで調べてみたらチャリの人は、
有料道路の手前でチャリを置いて、
バスに乗ってしか、岬に行けないらしい。
博多から佐多岬まで走ろうかと思っていたが、
チャリでは行けないとは残念、、、
しかし、私が目指すのは日本最西端。
気を取り直して、九州よりも西の島、沖縄へ。

博多港から沖縄への船を予約したが、
週一回しか出ていない為、次は5日後か。
今までとは違って、乗り物を使うとなると、
なかなか予定が難しい、、、

博多駅。
人や車でごったがえす。
博多駅のバス乗り場。 ビル中に普通バスや長距離バスなどの乗り場が。凄い。


DATE  2003/08/29
LOCATION  福岡:博多
No.34 天の地へ

福岡一の繁華街は博多ではなく天神。
スピッツの詩にも出てきたりする天神は
ママチャリにしてみれば天敵。
何人ぶつけても足りないくらい人が多く、
お洒落な街には似合わない、、、

福岡空港はそんな天神のわずか3.5km先。
街中に突如、空港現る。
滑走路に近い道路を見つけ、
ひたすら発着を眺めてたら、
自分だけではなく色々な人が来ていた。
飛行機と空港はどこか人を惹きつけるものがある。
こいつで天に向かえば1時間半で東京だ。はえ、、、
でも今は地を張って進むしかない。

アクロス天神。都心に山が。と思いきや建築物の後ろが階段状に庭園が広がる。
アクロス内部。 内部では 階段庭園から光が取り込まれる。面白い作り。
福岡空港。
こんな所で飛行機を待ち続ける、、、
来た!爆音を轟かせ巨大物体が降ってくる。大迫力。
 
夜は闇の中から光を放ち、得体の知れない物体が。不気味でカッコイイ。


DATE  2003/08/30
LOCATION  福岡:博多
No.35 麺の地へ

福岡と言えば明太子とラーメン。
今や東京にも進出し、福岡では人気の一蘭ラーメンへ。
何度かは来た事があるが、
ここは相変わらず特殊なシステムが稼動している。
そのシステムとはまず、座るなり目の前にのれんが。
そして味の濃さや麺の硬さを細かく選択した紙を提出、
しばし待つと、のれんからぬっとラーメンが来ると言う、
徹底的に店員とは顔を合わさない、
プライバシー対策が完璧に施されている。
謎だ、、、
でも一人で食べるには気楽で、私はこのシステムは結構好き。

秘伝のたれを何倍入れるか選択できるが、
このたれが結構辛く、独自に1/4倍と記入したら、
「申し訳ありません、1/4倍は出来ないんです、、、」
と言われてしまい、恥ずかしかったが、
しかし! 一蘭システムの稼動中においては
そのプライバシーが約束され、
公の場に知れ渡る被害は両隣の人のみであった事は、
個人的に感謝の念を伝えたく、ここに賞すると同時に
食いすぎて腹が痛くなった事も最後に記したい、、、

一蘭ラーメン本店。
ここから始まった。
一蘭システム全貌。
全ての会話はのれんの下で。


DATE  2003/08/31
LOCATION  福岡:博多
No.36 金の地へ

超高級住宅街兼、巨大商業地区。
福岡の百地はドームもある、なんだか凄い街。
チャリで散策すると、
惜しげもなく素晴らしい巨大建築物が並び、
目を輝かせて走っていると、
福岡ドーム、シーホークホテル、ホークスの
こちらも巨大負債事業が並ぶ、、、
とはいえ建物的には見所満載で、
黒い坊主は写真撮りにふけっていると、
福岡タワーが目に入った。

嗚呼、登りたいけど一人ではなぁ、、、
しかし、折角の機会なので意を決して券売り場へ。
いつも以上に声を張りエレベータへ向かうと、
自分とエレベータガールの二人だけ。
非常に気まずい、、、
すぐには上へ行かなく、他のお客さんを待っているので、
頼むから誰か来てくれと祈っていたらカップルが。
さらに気まずい、、、
そんな雰囲気は展望室の空に着くことで
素晴らしい景色の彼方へ消えた。

南西の方角には目指す島がある。
が、当然ここからでは見えるはずも無く、
まだまだ先は長く時間も掛かる。
本当に行きたい場所には、
なかなか行けないものなのかな。

シーホークホテル。
非常に綺麗なホテル。
シーホーク内部は広大な吹き向けに、
謎のジャングル。
福岡ドーム。
天井開閉費用は100万円也。
ドームゲート前。
今日は試合が無いので静か。
全長234Mの福岡タワー。 震度7にも風速63M/秒にも耐えるらしいです。
タワーからの眺め。
魏志倭人伝の志賀島が奥に。
エレベータ内部。
下を見たら、結構高い、、、
西部ガスミュージアムの階段。
残念ながら中には入れなかった。
百地は素敵なマンションが沢山ある。
その中で一際ここが印象に残った。
百地の浜辺。
もうここは、なんでもある。


DATE  2003/09/01
LOCATION  福岡:博多
No.37 地図を汚せ

大きさは小さくて軽くて、
内容は壮大で重い小説を探していた。
明日の沖縄行きに備え、
軽くてすぐには読めないようなのが良いね。
本の壁から2欠片ほど取り出し、
500円玉を2枚ほど渡すだけで、
言葉が生み出す無限の世界へ飛び立てる、
安くて手軽で夢のある娯楽。

ついでに、もう必要ない荷物も家へ送還。
長袖の服や、読んだ小説、そして地図。
私をここまで導いてくれた地図達は、
原型とはほど遠く、しなびて折り曲がって色あせている。
ちょっと手にとって見直してみれば、
記憶が生み出す思い出の世界へ飛び立てる。
曲線で描かれた忘れない道達。

さあ、綺麗な地図を片手に飛び出そう。
苦労を折り込み、汗を刷り込み、
地図を汚せ。

天神の夕日。
いよいよ明日から沖縄編。
お洒落な商社ビル。
福岡はお洒落なビルが多い。
 
と思いきや、
アンダーグランドな道もまた一興。


DATE  2003/09/02
LOCATION  福岡:博多 → 福岡沖
No.38 窮鼠

博多−沖縄、22時間。
今までで最長の船旅に出るべく、いざ港へ。
直江津港よりさらにこじんまりとした、
ターミナルで乗船手続き済ませ船へ。
なんだか北海道からどんどんフェリーが
小さく、そして古くなって来ている。
大丈夫か、、、

寝台部屋へ行くと、
関西弁が飛び交うイカツイ兄ちゃん3人組が
待ち受けていた。こえ、、、
外は鮫、中は3匹の虎で追い詰められた鼠は
とりあえず挨拶をすると、
意外とみんな良い人という、ありがちなパターンが
なんとも、ありがたかった。

皆さん奈良から福岡まで自転車で来たと言う。
外見とやっている事にえらいギャップがあるのは、
自分も同じだと言われた。
「だって最初、沖縄の人と思いましたよ。」
沖縄に行っても、どこでも地元人の能力は
いかんなく発揮できると確信を得た。

わかなつおきなわ号。
ちょっとばかし不安、、、
コンテナも大量に積み込まれる。
島の人達にとっては命の源。
福岡ともサヨナラ。
楽しい街であった。
我が寝所。
虎の皆さんもお休み、、、
 
船は夕日に向かう。
私はどこまで行く、、、


DATE  2003/09/03
LOCATION  福岡沖 → 沖縄:那覇
No.39 青の世界

船は揺れる。
揺れる中で見る夢はやはり揺れていた。
頭を覚まそうと外へ出ると、
今度は360度水平線が心を揺さぶる。
凄い、、、
今までは必ずどこかに島が見えていたが、
今は2色の絵の具で塗っただけの、
単純で爽快な青い風景画。
一本の僅かに歪む直線に向かって、
船は進むと言うより、吸い込まれているかのよう。

心奪われた私を乗せた船は21時30分、
無事那覇へ到着。
初めての沖縄だと感動にふける時間は
石垣行きの船は与えてはくれない。
23時出航、、、急げ!

朝のデッキ。
もう空気が南国。
見渡す限り海と空だけ。
青の世界を突き進む。
雲が影となって生み出された、
光のカーテン。
意外と都会だった那覇港。
じっくり見ている暇は無かった、、、


DATE  2003/09/04
LOCATION  沖縄:那覇 → 沖縄:石垣
No.40 深緑

タイムリミット1時間。
それが、石垣行き船の経由地である、
宮古島での外出可能限界時間だ。
外に出ない人のほうが多いが、
もちろん私は嵐だって出るさ。
行ける時に、生きてる内に行かなきゃね。

タラップを滑るように降り立つと、、、
暑い、、、いや熱い。
剥き出しの太陽光で全身を焼かれ、
照り返す湿った熱で蒸される、
人間調理場かのような港を
トラックに突っつかれながらも抜けると、
初めて見るエメラルドグリーン。
透き通る色、艶やかな波、粒々の輝く光。
ここは日本?
幻想に浸っていると、目を覚ませと、
10分前を告げる、夢の無い時計のタイマー。

石垣島に到着したのはそれから約6時間後。
眩い夕日を背に降り立つと、
暑さから逃げるようにユースへ一目散。
が、行ってびっくり普通の家で冷却装置は扇風機。
男女24人、居間に皆集まるスタイルなので、
熱が熱を呼び扇風機はオブジェと化す。
温風と泡盛と会話が回る、沖縄ワールド。

宮古島の港。
楽園要塞。
港なのに海がとても綺麗。
都会の常識は覆される。
常夏の道。
歩くだけで心躍る。
エメラルドグリーンの海へようこそ。
こりゃ乗るよ。
 
夕日と共に石垣入港。 博多から計38時間の船旅はここにて完結。


DATE  2003/09/05
LOCATION  沖縄:石垣
No.41 最後の希望を

北海道から西の果てへ。
その最終地点、与那国島へは週に僅か2便のみ。
明日出航する船が、west編の最終船。
いよいよ西の果て、、、
しかし、今回は船ばかり乗っていた為、
ふわふわした、風船のような生活に
突然、刃を突きつけられた感覚。
でも今の自分はそれを望んでいるのかもしれない。
横浜を出る前に、この旅で自分がしたかった事は、
最後の一つを残し、幸運にも全て満たされた。
それは決して一人の力ではなく、
これを見てくれた人や、
声を掛けてくれた見知らぬ人達、
そして旅で出会った人達のお陰でもあった。

全ての人達に感謝し、
美しい日本に生まれた幸せを噛み締め、
明日、この旅の最後の希望を見よう。
旅の終わりを告げる、日本最後の夕日を。

石垣の町並み。
南国は白いコンクリートの家が多い。
さあ、石垣一の展望台に向けて出発だ。
 
沖縄っぽい建物。
琉球ここに。
どこまでも続く透明の海よ。
でも触ると温かい。
もはやプライベートビーチ。
走る気を無くしそうだ。
標高230mの展望台。
倒れるかと思った、、、
天国への階段。
その下天は、、、
石垣を一望できる、大パノラマ。
日本は美しい。
街の食堂にて。
雰囲気も味も南国仕様。
緑の海と赤の光は、
深紫の海を生み出す。


DATE  2003/09/06
LOCATION  沖縄:石垣 → 沖縄:与那国
No.42 消えぬ炎

今までもそしてこれからも、この果ての島は、
この澄み切った海と空に魅了された人々を
厚く暑く歓迎し続けているのだろうか。
最北端から最西端の岬を目指すママチャリにも、
限界を超える快晴で歓迎する。

日の入り6時55分。
6時30分の北海道を考えると時差25分。
僅かな時の相違は何千キロの船旅を生んだ。
西の果ての岬に立つ為に、夕日を見たいが為に。

サラリーマン時代は一年に数回程度だったが、
この旅ではほぼ毎日、夕日を見てきた。
時に不安に悩まされたが、
それでも見ずにはいられない魅惑の赤い光。
傾斜がきつい岬を登りきった直後、
二つの黒い瞳に、青い絨毯と赤い炎が飛び込んだ。

夕日は一見どれも同じかもしれない。
だが、見る角度や時間、雲などによって、
色や位置、光の強さと雲の反射が変化する。
今まで見た夕日も、目の前に広がる夕日も
それぞれがそれぞれに素晴らしい。
何が一番で、ましてや順位なんて
決めれるはずがないんだ、、、

、、、太陽は海に潜り、月が輝きを増す頃、
西への旅の終わりを理解する。
でも、この日見た沈む夕日はどっかの国では朝日。
そして明日も太陽は昇りまた綺麗な夕日を彩る。
幾度と無く繰り返されるのは、
太陽も季節も人間も私も同じ。
一つが終われば、一つが始まる。
巡る巡る僕らと美しき星。



The Other Side - west - End ...........






-------------> To be continued

石垣周辺の島へ行く港。
 
進路は西。
目指すは与那国島。
揺られること4時間。
与那国の町並みへ。
岬に太陽のスポットライト。
なんて美しい島なのだろう。
西岬への道。
最西端は目の前だ。
灯台が見えた。
最後の力を振り絞る。
目に飛び込む赤い炎よ。
心を揺らす真っ直ぐな光よ。
時間によって姿形が変わる。
同じ夕日なんて一つとして無い。
毎日は常に新しい。